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卒業する君へ、そして卒業する自信のない君へ

今日はお日柄が良いのでしょうか。

袴を身につけた美しいお嬢さんたちの姿を、駅のホームでちらほらと見かけました。

卒業の季節ですね。

 

ひきこもり女子大生であったことは前回の記事で書いたとおりですが、そんな私がどうやってこの晴れの日を迎えたのか。袴姿のお嬢さんたちを見るたびに、あの日を思い出して少し胸が痛くなります。

 

ひとりぼっちの卒業式

大学生活の後半はかなり外に出られるようになっており、それまでの穴を埋めるべく、バイトをしたり、海外旅行に行ったり、クラブで朝まで踊ったり、イタい恋愛を繰り返したりと、ボロボロになりながらも体当たりライフを送っていました。10歳頃から意図的に優等生の道を歩み、人生経験が足りなさすぎることを自分でもよくわかっていたので、とにかく何でもやってみなけりゃ始まらないと試行錯誤していたのです。

それでもやはり、大学内では最後まで居場所を見つけることができませんでした。3年目にもなって今更サークルに入るわけにもいかないし、ゼミでも一つ下の学生たちに敬語を使われていて、「単位落としちゃっただけだからさ~、敬語なんか使わないでよ!」と言って開き直る勇気もありませんでした。よほど好きな授業でない限りは大学に行くのが苦痛で苦痛で、必修以外の科目は殆ど出てもいませんでした。入学当初から付き合いが続いていた唯一の友人も先に卒業してしまい、最後の1年は本当のひとりぼっちでした。

 

卒業を共に喜びあえる相手が誰ひとりいない。そんな状況で卒業式に出たって空しいだけです。そこで、後期試験が終わった直後から、アメリカに6週間の語学留学に行きました。

でも本当は、心配なことがありました。一般科目の授業にはほとんど出ていなくて、ノートを回し合う友人もいなかったので、追試になる可能性があったのです。

3週間後、予想は当たりました。母親から電話があり、2科目で追試を受ける必要があると知らされました。両方とも合格できなければ、卒業できません。

語学学校のクラスメイトや日本人仲間たちには「父親が急病になった」とウソをつき、語学学校に往復航空券の手配をお願いし、日本に帰りました。何も言わず、何も責めずに惨めな私を空港まで迎えにきてくれた家族には、感謝するしかありません。

2科目の一方は、たまたま出席してノートを取っていた範囲が出題されて何とかなりました。でも、残る一つはお手上げで、適当なことを数行しか書けませんでした。

仕方がないので、就活同様、ここでも捨て身の作戦(?)に出ました。不登校になり休学したこと。授業に出られず、ノートを見せ合う友人もなく、全くのお手上げであること。学外では自分なりに必死で努力して、就職も決まっていること。その全てをありのままに書き、「甘えていることは重々承知していますが、いま卒業することに人生のすべてがかかっています。後生ですから単位をいただけませんでしょうか」と懇願しました。試験監督に怪しまれないように、涙を必死で堪えながら。

1週間でアメリカに戻り、残る2週間、祈るような気持ちで結果を待ちました。そして、帰国の3日ほど前に、合格との連絡を受けました。

単位を下さったこの先生にも、感謝してもし切れません。

 

帰国後、教務課に母とふたりで卒業証書を受け取りに行きました。窓口に行くと「ハイ、これです」と手渡され、「ご卒業おめでとうございます」とも言ってもらえない、実にそっけない幕切れでした。親に晴れ晴れとした袴姿を見せてあげられなかったことに、情けなさと申し訳なさでいっぱいでした。

 

でも、卒業は卒業です。誰もいない静かなキャンパスにも、春の日は降り注いでいました。これが私の卒業式で、ここが私のスタート地点でした。

 

卒業する君へ、そして卒業する自信のない君へ

晴れ着に身を包み、華々しく卒業の日を迎えた皆さんも、決して楽なことばかりではなかったでしょう。

たとえ大きな挫折をしていなくても、いきなり膨大な自由時間を与えられる大学時代は大人になる前の最後の準備期間であり、多くの葛藤に悩む時期だと思います。

この日を迎えられたのは、ご家族や友人や先生の支えと、何よりもあなた自身が積み重ねてきた日々の努力のおかげです。どんな卒業であっても、自分に胸を張って下さい。

(て、何だか学長の挨拶みたい…)

 

そして、1年後、2年後に卒業できる自信も単位も失いかけている皆さん。

どうぞ、何とか踏みとどまって下さい。

次の道を自ら切り拓ける自信とアイデアも持っている人なら、思い切って退学してもいいかもしれません。

でも、そうではない、ごく普通の落ちこぼれ学生にとっては、退学はおすすめできません。

大学中退という経歴は、この社会では非常に厳しく受け止められるのが現実であり、仕事探しで苦労することは必定です。

ひきこもりや大学生の中退が社会問題化している今は、私の頃とは違い、学生の中退を回避するための手厚いサポートがどこの大学にもあるかと思います。

退学届を出す前に先生や学生課に相談し、せめて、私のように一時休学をして仕切りなおしてみて下さい。

まだ、きっと道はあります。可能性を捨てず、卒業を目指しましょう。