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バツイチ男に3回プロポーズした話:2回目のプロポーズ

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものです。詳しくは以下の一覧をどうぞ。


バツイチ男と結婚するまでの話 カテゴリーの記事一覧 - 街場のワーキングマザー日記

 

2回目のプロポーズ:2005年12月9日

電話したのは木曜の夜でした。

木曜の電話は週末の予定を話し合うのがいつものお決まりだったので、夫はこの日も、リラックスし切った間の抜けた声で電話に出ました。私がこれから重大な決意を伝えようとしていることなんて知る由もなく、「で、週末どうするの?」なんて言っている。

しかも。驚いたことに、夫は宿のキャンセルはせず、温泉仲間の友人を誘って予定どおり一泊しに行ったというのです。「マチ子が行かないって言うんだもん、行ってきちゃったよぉ」なんて、冗談半分ではあるものの、まるで私のせいみたいに言う。もう、怒る気も失せました。

 

この2回目のプロポーズのときに何を言ったかは、どこにも書き残されていません。おそらく、その当時書いていたマイぷれすの日記には何か書いていたと思うのですが、そのデータは消えてしまいました(こちらを参照のこと)。

それでも、私は自分が話した内容をよく憶えています。それは、いわば一世一代の、全身全霊をかけた自分の生き方の所信表明演説みたいなものであり、自分で話しながら、「私はこういう生き方がしたいのだ」と自分に言い聞かせていたようなものだったからです。

会話の正確なディテールは憶えていないけれど、以下のような話をしました。

 

今回は、正直とてもショックだった。あなたは私ではないから、わかってもらえないのも無理はないし、責める気もないけれど。

でも、ごめんね、私のわがままかもしれないけど、もう少し、私の気持ちをわかって欲しかったの。

私の家の複雑な事情は、あなたにもこれまでに話してある。姉がとても病弱なこと、今回の姉の手術がとても難しいこと、姉と母の折り合いが悪いこと、母が姉の看護に疲れ切っていたこと、父が全く頼りにならないこと、そして、母と姉の間に立たされて、私自身もピリピリしていたことも。

 

だから正直、もう少しわかってくれるだろうと思ったの。母が倒れたときのショックと不安を。こんな状況のなかで母が倒れてしまい、検査の結果、尿路結石以上の悪い結果が出たとしたら、私は一体どうしたらいいんだろう。父は全く頼りにならないんだから、すべてが私の肩にのしかかってくる。あなたにも甘えることはできない。私はひとりで耐えられるんだろうかって。

 

とにかく今は、母のそばにいてあげるしかない。母を支えるしかない。そう思って旅行をキャンセルしたのに、あなたは「いまキャンセルしたら料金を取られるよ」なんて文句を言うだけ。「旅行なんてどうでもいいからお母さんを大事にしろ」とも、「マチ子は大丈夫か」とも言ってくれない。それどころか、私が途方に暮れていたときに、あなたは友達と温泉に行っていたって…別に、行くなと言う権利はどこにもないけどね。

 

わかってるよ、こういうの、ぜんぶ私のわがままだって。こんな面倒くさい家族を抱えた人間と付き合ってくれているんだから、それだけでありがたいと思ってる。あなたに迷惑や負担をできるだけかけたくないと思ってる。しょせん他人同士なんだから、「私の気持ちを100%わかって」なんて言うのはお門違いだって、わかってる。

 

でも、今回のことで思い知ったの。私はもう、あなたと2人だけでいたくはないんだって。恋愛は、2人だけでもできる。この3年以上、互いの家族とは無関係に、私とあなただけの世界をつくってきた。

でも本当は、私にもあなたにも家族がいる。家族は決して無関係じゃないんだよ。私たちが20代前半くらいなら、もう少し今のままでもいいかもしれない。でも、2人とも30過ぎたいい大人だし、あなたの両親も私の両親も、いつ何があってもおかしくないでしょう?

あなたは大袈裟だと思ったかもしれないけど、そう思ったことを責めるわけではないけど、私は今回、もし母が死んだらどうしようって、初めて本気で思ったんだよ。1人では立ち向かえないかもしれないって、すごく不安になったんだよ。

 

それで思ったの。もし、あなたの家族に何かあったら、私はできるだけ力になりたいって。私はあなたの家族に会わせてもらったことはないけど、あなたが本当は家族のことをとても大切に思っているのはわかってるから。あなたにとって大切な人たちに何かあったら、私はその人たちのためにできることをしたいって。

もういい大人なのに、いつまでも2人だけで、フラフラと川面に漂う浮草みたいでいたくないの。あなたと2人だけではなくて、お互いにとって大切な人たちと、繋がり合って生きていきたいの。だって、2人だけでは生きられないんだから。お互いの人生に、ちゃんと巻き込まれたいんだよ。

 

だから私は、やっぱり結婚したいの。一人暮らしのマンションなんか探してるのはバカらしくなったの。

もし、あなたがどうしても籍を入れるのが嫌だったり、子どもは欲しくないというなら、それでもいい。

でもせめて、あなたのご両親にちゃんと会わせて欲しいし、うちの両親にも会って欲しい。そして、「この先、結婚するかどうかはわからないけど、少なくとも今は2人で生きていくつもりだから、これからどうぞよろしく」と挨拶をして。

 

それさえできないと言うなら、もう、別れるしかないよ。

あなたとお別れしたくないけど、それしかないよ。

 

だって私、あなたの親の葬式にも出られないような関係ではいたくないんだもの。

 

 

これが、私が出した結論であり、2回目のプロポーズの言葉でした。

 

夫は、私の話をじっくりと聞いてくれました。自分の知り合いにも尿路結石になった人がいて、大したことはなかったから、マチ子がそこまで思い詰めているとは思わなかった。自分に悪気はまったくなかったけれど、マチ子を傷つけてしまったのなら申し訳なかった。そんな風に謝ってもくれました。

 

でも結局、彼がこのとき出した答えも、Noでした。

興奮とショックで夫の弁明はよく憶えていないのですが、

「それがマチ子の出した答えなら、別れるしかないのかな」

と言ったことだけは、はっきりと憶えています。

 

この電話で、私たちは、別れることにしました。

 

(3回目のプロポーズに続く)