女子英学塾

それは8月の終わりだった。 息子に宛てた10歳の誕生日の手紙を書き終え、図書カードと一緒に封をして投函したあと、私はほぼ20年ぶりで卒業した大学へと向かった。 息子の誕生日の翌日は養育費をめぐる調停の3回目で、その次の日は自分の誕生日だった。調停…

出る杭

離婚してもう2年が経つ。そのあいだに自分の中でなによりも一番変わったのは、出る杭になること、正確には、出る杭であることを恐れなくなったことだ。 子どもの頃から、人より物事や他者の心理をよく見抜いてしまうこと、「もっとこうすればいいのに」と気…

手紙

マチオ 10歳のお誕生日おめでとう。 お祝いに5000円分の図書カードを送ります。 本屋さんで、お店の人にこのカードを渡して本を買って下さい。お財布に入れてなくさないように気をつけて。どの本を買うか、あと何円分残っているか、引き算して、よく考えて使…

祈りの時間

特定の宗教を信仰してはいないけれど、宗教心はある方だと思っている。 信仰とは、ある特定の神や仏、あるいはその宗教・宗派の教義を深く信じ、その教えに殉じようとすることだろう。 他方、宗教心というのは、神や教義といった対象に関わらず、この世には…

初夏のドライブ

あちらこちらで若葉が芽吹き、初夏が近づいている。 元夫は花粉症が酷かったので、少し症状が落ち着いてくるこの時期に、車で旅に出ることが多かった。 行き先も旅程も夫が決めた。一応どこに行きたいかと尋ねてくることはあったけど、結局は好きなようにし…

続・湖畔にて

いまから2年半ほど前、2016年9月1日の湖畔にてという記事に、遅めの夏休み旅行について書きました。 湖畔を見下ろす丘のへりに建つホテルからは、雄大な山の稜線と、広い空と、碧い湖が見えるばかり。 きこえる音といえば、鳥のさえずりと一足早い秋の虫、木…

街場の女

(2017年6月15日の夫宛てメール) 先日のあなたからの対案について考えました。話をまとめると、以下のとおり。 ・私に出て行くと言われてから急遽考え、海外に2年くらい英語の勉強をしに行こうかと思っている。できれば(本人の父親の)一周忌前の10月くら…

理想の母親像 2017

同僚と飲みに行く前日、夫が息子に言いました。 「会社の人と飲みに行くなんて、お母さんも本当は嫌なんだよ。そんなことより、毎日早くうちに帰ってマチオとみんなで晩御飯が食べたいけど、これも仕事だから仕方ないんだ。ね、お母さん?」 ああ、まただわ…

プロポーズから離婚宣言まで

このブログを細々と読み続けて下さっている貴重な読者のみなさんは、前回の離婚宣言にさぞ驚かれたかと思います。星もつけられず、どう反応したらいいのかもわからず、固唾を飲んで次の記事を待たれていた方もいるかもしれません。意表を突いてしまい、すみ…

夫への返信(離婚宣言)

夫へ 手紙読みました。ブログも読んでるよ。 結局、ずっと書いてなかったのね? そして、これを機に書き始めたと。 もう全部、正直に言うよ。 まず、手紙について。 内容以前にまず愕然としたのは、文章があまりに酷いこと。 あの文体はハルキもどき? 辻仁…

湖畔にて

先月末に休暇をとって、湖畔のリゾートに泊まりました。 4月以後、息子は小学生になり、私は仕事が多忙を極め、帰宅すると、夫が用意してくれた夕食を取りながら、夕食と入浴を済ませた息子の宿題と翌日の持ち物準備に指示を出しつつ、その日の話を聞く、と…

真珠の女

まいにち真珠を身につけている。高級なものは持っていないし擬似パールも含まれるが、あわせて3組のピアスとネックレスを服装に応じて付け替えている。一組は、淡いグレーのアコヤ真珠の一粒ピアスと一連チョーカーのセット。冠婚葬祭用に真珠の卸業者のネッ…

Not arrogance, but elegance

傲慢ではなく、品性を。最近、このフレーズを常に心に留めている。ふと自分で思いついたつもりで、なかなかキレイに韻が踏めてるじゃない、などと自己満足に陥ったのだけど、どこかの誰かの箴言かもしれない。最近改めて感じ入るのは、世の中には「偉い立場…

無糖ミルクコーヒー

東京は山と谷の都市である。先月末から働き始めた職場の最寄駅は、都心の谷底のさらに地下にあり、そこからオフィスビルまでは何基ものエスカレーターを上り継いでやっと辿り着く。そのビルは「山」の名を冠する土地のいちばん高い地点、つまり山頂にあり、…

曲がり角のあれこれ

ふぃー、ご無沙汰しています。このひと月半のあいだに、色々とありました。女四十は、やはりひとつの曲がり角のようです。 4月中旬、本格的に転職活動を始めました。3年前の転職時に作った履歴書と職務経歴書をリファインし、いくつかの転職サイトに登録する…

【お知らせ】美術鑑賞ブログ始めました。

タイトルのとおりですが、美術鑑賞ブログを始めました。 美術館で朝食をmachibamuseum.hatenablog.com サブタイトルにあるように、いつも短い時間で複数の展覧会を駆け廻っています。とてもじゃないけど、優雅な美術鑑賞の午後…なんて感じではありません(^_^…

本丸を、攻めろ。

あーーー、ショックです。 数日前のことなのに、いまだショックが冷めやらず、ずっとそのことばかり考えています。 それは、通信制大学の准教授、A先生の言葉。 あまりにも正論で、あまりにも身に沁みて、返す言葉が見つからないくらいでした。 大学の仲間数…

ブログを書くことは、教壇に立つことと似ている。

このブログを始めてから1年が過ぎ、これでちょうど50記事目になります。 1年でたかだか50記事、しかも、そのうちの約3分の1は過去の日記のコピペですから、この1年を振り返って総括できるようなことは何もありません。それでも、とりあえず一区切りつける意…

豊かな時代の黄昏時に、『33年後のなんとなく、クリスタル』を読む

田中康夫の『なんとなく、クリスタル』(以下、著者ご本人に従い「もとクリ」と略します)と『33年後のなんとなく、クリスタル』(同じく「いまクリ」)を読みました。色々と思うところがあったので、こちらで感想を書いてみます。 ※ネタバレありです、ご注…

別れの季節

春3月。昨日の昼休み、いつもの百貨店のいつもの化粧品カウンターに、いつもの基礎化粧品を買うために行きました。 ここには長く通っているものの、2、3ヶ月に一度、最低限必要なものを買いに来るだけなので、担当してくれる美容部員は決まっていないし、お…

バツイチ男に3回プロポーズした話:最後のプロポーズ

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズの最終話です。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男と結婚するまでの話 カテゴリーの記事一覧 - 街場のワーキングマザー日記 …

バツイチ男に3回プロポーズした話:2回目のプロポーズ

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものです。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男と結婚するまでの話 カテゴリーの記事一覧 - 街場のワーキングマザー日記 2回…

バツイチ男に3回プロポーズした話:初めてのプロポーズ

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものです。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男と結婚するまでの話 カテゴリーの記事一覧 - 街場のワーキングマザー日記 初め…

【2003年7月1日の日記】1周年。

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものであり、本エントリは2003年7月1日当時のWeb日記の内容をそのまま掲載しています。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男と…

【2003年5月26日の日記】誠実な人

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものであり、本エントリは2003年5月26日当時のWeb日記の内容をそのまま掲載しています。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男…

【2003年1月6日の日記】円満(?)解決

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものであり、本エントリは2003年1月6日当時のWeb日記の内容をそのまま掲載しています。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男と…

【2002年12月26日の日記】赦し

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものであり、本エントリは2002年12月26日当時のWeb日記の内容をそのまま掲載しています。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男…

【2002年12月24日の日記】自分史上最悪クリスマス

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものであり、本エントリは2002年12月24日当時のWeb日記の内容をそのまま掲載しています。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男…

【2002年12月20日の日記】♪クーリスマスは誰にもやってくる♪

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものであり、本エントリは2002年12月20日当時のWeb日記の内容をそのまま掲載しています。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男…

【2002年11月29日の日記】I believe in you

※ご注意※こちらは、夫と13年前に付き合い始めてから6年を経て結婚するまでの「バツイチ男と結婚するまでの話」というシリーズものであり、本エントリは2002年11月29日当時のWeb日記の内容をそのまま掲載しています。詳しくは以下の一覧をどうぞ。 バツイチ男…